日米地位協定の環境補足協定(2015.9.28) (PDF)
日米地位協定は1960年に旧行政協定を焼き直しする形で発効し、その後、一度の改定も行われず今日に至っています。
その中でも、環境問題に関わる条項が無いことが時代の変化と共に大きくクローズアップされ、2015年になってやっと「環境補足協定」が締結されました。
「環境汚染に対して法的拘束力をもって対処できるようになった」との評価が叫ばれる中、その実態はやはり抜け穴だらけに見えます。
まず、日米安保条約及び日米地位協定の存在と両国間の協力関係を声高に評価しながら、2000年9月に発表された「環境原則に関する共同発表」が『・・・成功裡に実施されていることを再確認し・・・』とありますが、日米の当局者が本気でそう考えているのかどうか、もしそうだとしたら、あまりにも一般市民との感覚が異なることを指摘せざるを得ません。
改めて、「日米環境管理基準」(JEGS)に明記されている『・・・適用可能な合衆国の基準、日本国の基準又は国際約束の基準のうち最も保護的なものを一般的に採用する・・・』を鮮明に確認し、一つ一つの事案に対して説得力を持った施策を実行しなければなりません。
また、原則的に非公開の日米合同委員会に手段を委ねるのではなく、公開され、検証された情報に基づく対処こそが求められています。
出典(外務省)→ https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000415174.pdf
<日米地位協定> 環境原則に関する共同発表(JSEP 2000.9.11) (PDF)
海外に駐屯する米軍に関して、駐留米軍の責任者(司令官)が必ず策定しなければならないのが「環境管理基準(EGS)」ですが、日本の場合(日本環境管理基準(JEGS))は1995年1月に初めて登場しました。
それから5年後の2000年9月、世界的な環境問題に対する関心の高まりに押されながら、日米両政府は「環境原則に関する共同発表」を公表しましたが、しっかり読み解いていくと「額面通り」には行かないからくりが潜んでいるように見えます。
まず、[管理基準]の項目では、『・・・日米の関連法令のうちより厳しい基準を選択するとの基本的考えの下で作成される日本環境管理基準(以下「JEGS」)に従って行われる。・・・』とありますが、果たして事実はそう言えるでしょうか。現実は真逆ではないでしょうか。
次に、[環境汚染への対応]では、『・・・人の健康への明らかになっている、さし迫った、実質的脅威となる汚染・・・』との制約を設けており、その定義すら明確ではありません。つまり、英語での表記(KISE : a known,imminent and substantial endangerment)をどうにでも解釈できるのです。
更に、[情報交換及び立入]で明記されているように、「・・・合同委員会・・・」の機能を使って協議や協力に取り組むとの宣言的な内容になっており、原則的に非公開の合同委員会を活用することで、あやふやな処理の余地を確保しているように見えます。
日米両政府が軍事基地の環境問題を深刻に捉えるのならば、絶対的な見地に立つ対処を明確に示すべきです。
出典(外務省) → https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyodo_2.html
日米地位協定・環境補足協定と日本環境管理基準(JEGS)国立国会図書館 (PDF)
全編 → https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10308611_po_079302.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
日米地位協定の問題点(学習会用:PowerPoint)
日米地位協定(日・英対訳文) (PDF)
全編 → https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/pdfs/fulltext.pdf
日米地位協定の改定を求めて(弁護士連合会) (PDF)
全編 → https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/nichibeichiikyoutei_201410.pdf
日米安保条約の事前協議に関する密約 (PDF)
全編 → https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3050369_po_0672.pdf?contentNo=1
日米地位協定の運用改善の経緯 (PDF)
全編 → http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_6019604_po_0766.pdf?contentNo=1